妊娠編

当院での妊娠中の診察・検査

当院では、マタニティカレンダーに合わせて以下の診察・検査を行っていきます。
内容 検査の時期
問診 口頭での質問によって妊婦の体調や心身の状態をみま。 妊娠全期
内診 腟部を触診することによって炎症やびらんの有無、子宮口の状態などをみます。 妊娠全期
(必要に応じて)
尿検査 尿蛋白検査尿中のタンパクの量をみて、腎臓機能に異常が起きていないかをチェックします。妊娠高血圧症候群の早期発見に欠かせない検査です。 妊娠全期
尿糖検査尿中の糖(尿中グルコース)が通常値以上に増加していないかを調べます。糖尿病の早期発見に役立つ検査です。 妊娠全期
ケトン体検査尿中にケトン体が検出される場合は、つわりの症状がひどく、栄養摂取不足などが心配され、入院治療が必要なこともあります。 妊娠全期
超音波検査 出産予定日の修正や赤ちゃんの数(多胎)、心拍の有無、子宮外妊娠や婦人科疾患の合併の診断に必要です。赤ちゃんの発育や異常の有無、赤ちゃんの姿勢(胎位)、胎盤の位置や羊水の状態などを調べます。 妊娠全期
血圧測定 妊娠中は胎盤に血液を送り込むためにからだ全体の血液量が増えます。妊娠中の高血圧は妊娠高血圧症候群の徴候のため、しっかり検査しましょう。血圧が高めの方には、ご自宅での血圧測定もおすすめします。 妊娠全期
血液検査 貧血検査貧血状態の有無を確認。炎症性疾患や出血傾向がある場合の目安にもなります。鉄欠乏性貧血(妊婦に多い貧血)であれば食事療法や鉄剤の投与などを行います。 妊娠全期
血糖検査糖尿病の早期発見のために血糖値を調べます。高血糖状態で妊娠を継続した場合、母体にも胎児にも大きな影響を与えるため、大切な検査です。 妊娠前期・中期
血液型検査(ABO式/Rh式)血液型の確定検査です。妊娠・分娩時の大量出血や緊急手術など輸血が必要な場合にそなえて不可欠の検査です。また、赤ちゃんとお母さまの血液型不適合があるかどうかのチェックにも必要です。 妊娠前期
血液検査 不規則性抗体検査赤ちゃんを新生児溶血性疾患から守り、必要時には輸血が安全に行えるよう不規則性抗体の有無を調べます。 妊娠前期
B型肝炎ウイルス(HBs抗原)検査B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べます。お母さまが感染している場合、赤ちゃんに感染するおそれがあります。陽性の方は出生後に赤ちゃんに予防接種を行います。 妊娠前期
C型肝炎ウイルス(HCV抗体)検査C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べます。感染している場合、肝機能障害を起こすことが多いので内科診療をします。 妊娠前期
エイズ(HIV抗体)検査お母さまがHIV(エイズ)の場合は、赤ちゃんに感染する確率が非常に高いといわれています。感染経路に関してはまだよく解明されておらず、子宮内感染、周産期感染、出産後感染のいずれも考えられるため特別注意が必要です。 妊娠前期
血液検査
風疹抗体検査妊娠初期に風疹にかかると、赤ちゃんが先天異常をきたすことがあります。
麻疹抗体検査妊娠中または分娩前後に麻疹(はしか)にかかると、流早産や赤ちゃんの重症感染症を引き起こすことがあります。
水痘抗体検査妊娠初期または分娩前後に水痘(みずぼうそう)にかかると、赤ちゃんが先天異常、重症感染症をきたすことがあります。
※風疹・麻疹・水痘の抗体が陰性の方は、これらのウイルスに対して免疫がないことを意味します。今後の感染予防、また次回の妊娠にそなえて、分娩後のワクチン接種をおすすめします(妊娠中はワクチンを接種できません)。
妊娠前期
梅毒検査梅毒にかかっていても(陽性)、早期に治療すれば赤ちゃんへの影響はほとんどありません。 妊娠前期
HTLV-1抗体検査白血病のウイルスがお母さまからの授乳で赤ちゃんに感染することがないよう調べます。 妊娠前期
腟分泌物検査 クラミジア抗原検査クラミジア感染症はセックスでうつる病気のひとつで、赤ちゃんに肺炎や結膜炎を起こす可能性があります。陽性の場合はご夫婦での治療が必要です。 妊娠前期
細菌培養検査お母さまの腟内細菌の状況を調べる検査です。 妊娠前期
妊娠後期に腟内のGBS(B群溶血性連鎖球菌)などの細菌検査を行います。産道感染予防のために受けていただきます。 妊娠34週
子宮頸ガン検査 子宮ガンの検査です。妊娠中でも治療ができる場合もありますので、受けておきたい検査です。 妊娠前期
NST検査 ノンストレステストです。横になり分娩監視装置を使って、赤ちゃんの心拍の状態や胎動、子宮収縮などを調べます。 妊娠37週〜
その他の検査 NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)
※新型出生前検査
赤ちゃんが染色体疾患を持つ可能性を見る、お母さまの血液検査です。ダウン症候群(染色体異常の1種)などの可能性がわかります。
妊娠
10~15週6日
クアトロテストNIPT同様の血液検査ですが、NIPTに比べると検査できる範囲や制度に限りがあります。 妊娠
15〜16週6日
羊水染色体検査羊水を採取して赤ちゃんに染色体異常がないかどうかを調べます。検査には流産などのリスクがともなうため、医師との慎重な相談が必要です。 妊娠
16〜18週6日
※上記3つの検査は出生前診断であり、ご希望により行う検査です。検査の意義をよく理解され慎重に検討してから受けるようにしましょう。詳しくは医師とご相談ください。