産後編

産褥体操

産褥期の心身の回復や肥満防止のために、産後1日目から体操を始めましょう。最初は軽い運動から始めて、徐々に運動の程度を高め、回数も増やしていきます。楽な服装で無理をせず、マイペースで毎日続けることが第一。できれば3ヵ月、少なくとも4〜6週間は続けましょう。
尿もれや子宮が下がるのを防ぐために、腹筋・肛門・腟の引き締めをしましょう。
産褥体操の目的
  • 分娩時にのびた腹壁や骨盤底筋の回復を早める。
  • 血液循環がよくなり、静脈のうっ血や血栓を防ぐ。
  • オロの排出、子宮の回復を早める。
  • 靱帯を強め、関節の屈曲性を増す。
  • 筋肉の痛みをとり、疲労を回復させる。
  • 内臓下垂を予防し、便秘にならないようにする。
産後1日目
胸式呼吸・腹式呼吸[1日数回]
あおむけに寝て、胸に手をあて、息をゆっくり吸ったり吐いたりする(胸式呼吸)。
次におなかに手をあて、息をゆっくり吸ったり吐いたりする(腹式呼吸)。
足の運動 [1日2〜3回 各10回ずつ]
左右の足首に力を入れ、交互に曲げたり伸ばしたりする。
左右の足の指だけを曲げたり伸ばしたりする。
左右交互に、足首の関節をくるくる回転させる。
産後2日目
頭の上げ下げ運動[1日3回 各10回]
息を吸いながら頭をおこして、ひと呼吸止め、息を吐きながらゆっくり頭を下げていく(ひざを曲げない)。
産後3日目
骨盤と肛門の運動[1日3回 各20回]
あおむけに寝ておなかに手をあてる。ひざを立てて、肛門をしめたりゆるめたりする。
ケーゲル体操(骨盤底筋群体操)もご参照ください。
下肢の運動[1日3回 各5回]
あおむけに寝て手足を伸ばし、足を左右交互に上げ下げする(下腹部に力が入るので無理のないように)。
上肢の運動[1日3回 各5回]
あおむけに寝た状態で、手のひらを上にして、両手を左右いっぱいに開く。開いた手をそのまま真上に上げていき、力を入れて手を合わせる(ひじを曲げない)。
産後4〜5日目
手足と首の運動[1日2回 各10回]
あおむけに寝て片ひざを立てる。反対側の手をまっすぐ上げながら、首を左右に曲げる。
産後10日目
足上げ運動[1日2回 各10回]
手足を伸ばしてあおむけに寝る。片足をからだと直角になるように垂直に上げる。
片足を上げた状態で、もう片方の足をそろえるように上げる。
(これを左右交互に)
産後2週目
腰の運動[1日3回 各10回]
あおむけに寝て、両手をからだのわきに伸ばし、ひざを立てる。
腰に力を入れて、息を吸いながら上に伸ばすように上げ、息を吐きながら下げる。
産後3週目
前屈運動[1日2〜3回 各10回]
まっすぐに立ち、手のひらが足首につくまで上半身を前に倒していき、頭をひざにつける。
臀部の運動[1日2〜3回 各10回]
うつぶせに寝て、両手を前で組み軽く両足を開く。息を吸いながら、両ひざを引きよせ上げるようにして、思いきり腰を高く上げる。
産後4週目
上体の運動[1日3回 各10回]
あおむけに寝て、胸もとで軽く手を組んでのせる。両ひざをつけたままで軽く立て、頭を持ち上げる。一呼吸おいて下ろす。
うつぶせに寝て、両手はからだにそわせて手のひらを床につける。ゆっくり頭と両足を持ち上げてからだをそらせ、一呼吸おいて下ろす。
腰を使った全身運動[1日 15回]
つまさきで直立し、両手を肩と水平になるように前にまっすぐ伸ばす。かかとを上げたまま、手を両脇に下げながら、ゆっくり腰を落としていく(おしりがかかとにつくまで)。
ウエストの運動[1日3回 各10回]
両足を投げ出してすわり、いっぱいに開く。両手を左右水平に伸ばして正面を見る。上半身を左右交互に思いきりねじる。
ケーゲル体操(骨盤底筋群体操)
この体操は、出産による骨盤内の筋肉の損傷を修復し、尿漏れの症状を改善します。
あおむけに寝てひざを立て、手をおなかの上にのせます。
肛門、尿道、腟を締める気持ちで下腹部に力を入れ、3~5数えてからゆっくり力をぬきます。
これを5回くり返します。
次に、早いテンポで下腹部に力を入れたりぬいたりします。 5回から始め、慣れてきたら20回くらいくり返しましょう。
次にひざを伸ばし、②~④を行います。
あおむけに寝てひざを立てます。
下腹部に力を入れ、腰をできるだけ高く持ち上げます。
肩、背中、おしりの順番に床に下ろし、力をぬきます。
これを5回くり返します。
あおむけに寝てひざを立てます。
肛門、腟、尿道を締めてから図のような姿勢をとり、2~3数えます。
筋肉を締めたままゆっくりともとの姿勢に戻り、力をぬきます。
これを5回くり返します。
足を肩幅に開いて立ち、やや上を向いてテーブルに両手をつきます。
肛門、腟、尿道の順に下腹部をゆっくり締め、3~5数えてから力をぬきます。
これを5回くり返します。
かかとをつけ、つまさきをやや開いて立ちます。この時、テーブルやいすなどを利用してからだを安定させましょう。
おなかを引っ込め、おしりや下腹部に力を入れて、3数えてから力をぬきます。
これを5回くり返します。できる人は、これをつまさき立ちで試してみましょう。